<FREE>業界動向:レアアース再利用について(アップル社、中国、日本)

4月13日、Appleは自社製品にさらに多くのリサイクルされたレアアース材料を使用すると発表し、具体的なスケジュールを公表しました。 2025年までに、同社はすべてのApple設計のバッテリーに100% リサイクルコバルトを使用し、製品機器の磁石もリサイクルされたレアアースを使用した磁石にする予定です。

Apple製品に最も多く使用されているレアアース材料であるネオジム磁石は、サイズが小さいながら大量のエネルギーを蓄えることができ、スマートフォンやパソコン等の小型化と軽量化のニーズに応えることができます。 携帯電話への応用は、主に携帯電話振動モーターと携帯電話マイクロ電子音響部品の2つの部分に使われており、各スマートフォンには約2.5gのネオジム磁石が必要です。

業界関係者によると、ネオジム磁石製造時に発生する25~30%のスクラップ、スマートフォン、パソコン、モーター等のレアアース磁石を使用した廃棄デバイスは、レアアースリサイクルの重要な資源となっています。 原料鉱石から同様の製品を製造する場合と比較して、レアアース廃棄物のリサイクルには、プロセスの短縮、コストの削減、環境汚染の軽減、レアアース資源の効果的な保護など、多くのメリットがあります。

廃棄物から1トンのプラセオジムとネオジムの酸化物を回収することは、1万トンのレアアースイオン鉱石または 5 トンのレアアース鉱石から精錬する量に相当します。採掘可能なレアアース資源が限られており、レアアース製品廃棄物からのリサイクルと再利用は、ますます重要になっています。

近年、中国はレアアース産業の産業チェーン全体の管理を継続的に強化すると同時に、レアアース企業に対し、レアアース材料を含む二次資源のリサイクルを奨励しています。中国では、政府関係部門が国内外のレアアース商品の市場調査を積極的に実施し、対応策を策定しています。 一方、レアアース企業は技術研究開発を強化し、各種レアアースリサイクル技術を研究し、レアアースをリサイクル・再利用するハイエンド製品の開発を進めています。

2022年、中国のリサイクルプラセオジムとネオジム(NdPr)の生産量は、プラセオジムとネオジム(NdPr)金属の42%を占めました 統計によると、昨年の中国のネオジム磁石(NdFeB)廃棄物の排出量は5万3000トンに達し、前年比約10%増加しました。 鉱石から同様の製品を製造する場合と比較して、レアアース廃棄物のリサイクルは、生産プロセスの短縮、コストの削減、廃水と廃ガスの排出量の削減、環境汚染の減少、未採掘レアアース資源の効果的な保護など、多くのメリットがあります。

日本にも「都市鉱山」※が眠っています。産総研(産業技術総合研究所、技術の創出と実用化で社会課題の解決に取り組む、日本最大級の研究機関)が、2013年に戦略的都市鉱山研究拠点SURE(Strategic Urban mining REsearch base)を設立し、金属再資源化のための製錬技術、資源循環を促進する製品設計、廃製品量の予測などの技術に取り組んでいます。世界初となる自動・自律型リサイクルプラントに向けた装置、無人選別システムを開発しております。廃製品の解体や選別を従来の手作業と比べて10倍以上の速度で行い、廃部品を分離効率80 %以上で選別することをめざし、2023年度には実証プラントを設置する予定です。

日本でも、レアアース応用製品廃棄物から効率よくリサイクルされたレアアースを利用できる日も遠くないでしょう。

※都市鉱山:1988年に東北大選鉱製錬研究所の南條道夫教授らによって提唱されたリサイクル概念で、地上に蓄積された工業製品を資源とみなして「都市鉱山」と名付け、資源をそこから積極的に取り出すこと試みる概念です。

■参考

Apple、自社設計のバッテリーすべてに100%リサイクルコバルトを使用へ。磁石にも100%リサイクル希土類元素を使用 (corriente.top)

都市鉱山とは (aist.go.jp)

都市鉱山 | NIMS レアメタル・レアアース特集

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