2023年3月、4月にインドでリチウム鉱床、他15種類のレアアース鉱床が新たに発見されたことが報道されました。その規模や現状の課題についてご紹介します。
■大規模リチウム鉱床の発見
インド地質調査所(GSI)は、カシミール地方で推定590万トン規模のリチウム鉱床を発見したと発表しました。
リチウムは陶器及びガラスの添加剤、リチウム電池、潤滑グリースなどとして使われ、特にリチウム電池はスマートフォンや電気自動車には欠かせない重要な部品となっています。
インドは、現状リチウムの7割は中国輸入に頼っております。採掘、精錬できれば、輸入依存を脱却できる、電気自動車産業の成長につながるかもしれないですが、課題が多いです。
(1)課題1:鉱床の場所による課題
鉱床所在地のカシミール地方は、隣国パキスタンとの係争地であり、山間部の上、近くに2500世帯ほどが暮らしている村もあります。採掘すると、汚染問題が起きますので、近くの村、村民をどうするかの課題があります。また、製造業に欠かせないリチウムのため、パキスタンとの紛争、戦争を引き起こす可能性もあるでしょう。
(2)課題2:採掘、分離精錬による課題
リチウムの採掘には大量の水が必要で、汚染問題が発生するため、汚染問題の解決策が必要です。
採掘できても、精製技術が難関になります。リチウムの精錬加工能力が高い中国に依頼する選択肢がありましたが、2022年12月末に中国政府がレアアース精錬技術を輸出禁止にすることを検討しているため、インドにとって、カシミール地方のリチウムが使える日はまだ遠いと思われます。
■インドで15種類のレアアース鉱床発見
2023年4月4日、The Times of Indiaの報道によると、アナンタプル地方で大規模なレアアース鉱床が発見されました。
主要鉱物はアラナイト、ソライト、アパタイト、モナザイト、蛍石などがあります。 こちらも採掘、分離精錬による課題を抱えております。