米 MP Materials、中国への希土類精鉱輸出を停止──報復関税でビジネス停滞

アメリカに本社を置くMP Materialsは、中国による報復関税および希土類製品の輸出規制の影響を受け、中国向けの希土類精鉱の出荷を停止したと発表した。同社の直近の売上高の約8割は、中国への希土類精鉱販売によるものであった。

メディアからの質問に対し、MP Materialsは17日(木)、中国への精鉱販売業務がすでに停止していることを認めた。その理由について同社は、「125%もの関税を課された状態でこれらの材料を販売するのは、商業的に合理性を欠く」と説明している。

今後、同社はカリフォルニア州にある精製工場で生産量の半分を処理し、他の販売先を模索するとしている。また、米国内における希土類サプライチェーンの再構築を目指し、すでに10億ドルの投資を進めている。

希土類の地政学的重要性は年々高まっており、MP Materialsにとっては長期的に価値が高まる資産となるが、短期的には今回の関税措置が業績に悪影響を及ぼすと見られている。

同社は軽希土類の分離および加工能力を有しているものの、F-35戦闘機や自動車などに使用される高性能永久磁石の製造に不可欠な重希土類、特にジスプロシウムやテルビウムの分離には対応できていない。現時点では、重希土類分離の量産開始時期は未定である。

現在、重希土類の分離が可能な国は中国のみとされている。一方、オーストラリアのライナス社は、マレーシアにおいて重希土類の分離施設を建設中であり、すでに稼働間近の段階にある。ライナス社は中国以外で最大の分離型希土類生産企業であるものの、依然として酸化物の精製は中国に依存しており、少なくとも2026年まではこの依存関係が続くと見込まれている。

前の記事

中国の希土類製品 輸入統計(2025年1〜3月・国別/製品別)

中国税関総署は、2025年1月から3月にかけての希土類製品の輸出入に関する確定値を公表した。本稿では、国別および製品別の輸入数量を集計・整理した。 この記事は 有料会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。