双日株式会社は10月30日、オーストラリアのレアアース大手ライナス・レアアース社が製造する重希土類の日本向け輸入を開始したと発表した。
同社は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で設立した「日豪レアアース株式会社」を通じてライナス社に出資し、中国以外でのレアアースサプライチェーン構築を推進してきた。今回の輸入は、豪州産レアアース鉱石をマレーシアで分離・精製した重希土類としては、日本初の事例となる。
ライナス社は西オーストラリア州マウント・ウェルド鉱山で高品位のレアアース鉱石を採掘し、マレーシアに分離・精製施設を有している。今回の輸入は、中国以外からの安定調達ルート確立に向けた重要な一歩となる。
レアアースは他の金属に微量を添加することで磁力や耐熱性を高められることから、「産業のビタミン」と呼ばれている。電気自動車、産業ロボット、風力発電機、半導体製造装置など、先端産業の幅広い分野で不可欠な素材である。
双日は1960年代からレアアースの取り扱いを開始し、2011年にはライナス社と日本市場向け軽希土類の独占販売契約を締結。その後も複数回の出融資を行い、2023年3月には磁石材料として重要なジスプロシウム(Dy)およびテルビウム(Tb)の日本向け供給体制を構築した。
ライナス社は現在、中国以外で軽希土類と重希土類の両方を商業規模で分離・供給できる唯一の企業である。2025年にはマレーシアでDyおよびTbの分離生産を本格化させ、2026年にはサマリウム(Sm)の商業生産開始を予定している。
