米ホワイトハウス、中国との経済・貿易関係に関する合意内容を発表

11月1日、米ホワイトハウスは中国との経済・貿易関係に関する合意内容(ファクトシート)を公表した。今回の合意により、中国によるレアアースをはじめとする重要鉱物の輸出規制や報復措置が事実上停止されることとなり、米国は重要鉱物の安定輸入および農産品の輸出拡大を実現する見通しだ。
ホワイトハウスはこの合意を「米国経済の回復と供給網の安定に向けた大きな一歩」と位置づけ、トランプ政権による外交上の成果を強調している。

(ファクトシート全文和訳)

中国との貿易の再均衡

今週、大韓民国で、ドナルド・J・トランプ大統領は中国の習近平国家主席と経済・貿易協定に合意した。これは米国の経済力と国家安全保障を守りつつ、アメリカの労働者、農家、家庭を最優先に置く、極めて大きな勝利である。

この歴史的合意には、中国による以下の約束が含まれている:

  • フェンタニル製造に使われる前駆物質が米国に流入するのを停止すること。
  • レアアース元素およびその他の重要鉱物に対する中国の現行および予定中の輸出規制を実質的に撤廃すること。
  • 米国の半導体製造業者およびその他の主要米企業に対する中国の報復措置を終了すること。
  • 米国産大豆およびその他の農産品に対して中国市場を開放すること。

中国側の行動:

  • 中国は、2025年10月9日に発表したレアアースおよび関連措置に関する包括的な新輸出規制の全世界での実施を停止する。
  • 中国は、米国の最終需要家およびその世界中の供給者の利益のために、レアアース、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、および黒鉛の輸出に有効な一般ライセンスを発行する。この一般ライセンスは、2022年10月および2025年4月に中国が課した規制の事実上の撤廃を意味する。
  • 中国は、フェンタニルの米国への流入を終わらせるために重大な措置を取る。具体的には、中国は特定の指定化学物質の北米への出荷を停止し、その他の特定の化学物質の全世界向け輸出を厳格に管理する。
  • 中国は、2025年3月4日以降に発表されたすべての報復関税を停止する。これには、鶏肉、小麦、トウモロコシ、コットン、ソルガム(モロコシ)、大豆、豚肉、牛肉、水産物、果物、野菜、乳製品など、広範な米国農産品が含まれる。
  • 中国は、2025年3月4日以降に米国に対して実施したすべての非関税報復措置、すなわち特定の米企業をエンドユーザーリストや「不信頼企業リスト」に掲載するなどの措置を停止または撤回する。
  • 中国は、2025年の残り2か月間に少なくとも1,200万トンの米国産大豆を購入し、また2026年、2027年、2028年の各年に少なくとも2,500万トンの米国産大豆を購入する。さらに、中国は米国産ソルガムおよび広葉樹材の購入を再開する。
  • 中国は、ネクスペリア(Nexperia)の中国国内施設からの貿易再開を確保し、重要なレガシー半導体が世界に供給されるよう適切な措置を取る。
  • 中国は、米国が海事、物流、造船分野での中国の支配的地位を調査する301条調査を発表したことに対抗して取った措置を撤回し、関連する制裁を解除する。
  • 中国は、米国からの輸入に対する市場ベースの関税除外プロセスの有効期限をさらに延長し、除外措置は2026年12月31日まで有効とする。
  • 中国は、半導体サプライチェーンにおける米国企業を対象とした独禁、独占禁止、反ダンピング調査などを終了する。

米国側の行動:

  • 米国は、フェンタニル流入を抑制するために課していた中国からの輸入品への関税を10パーセントポイント引き下げ、2025年11月10日に発効する。また、中国製品への引き上げた対等関税の停止を2026年11月10日まで維持する。(現在の10%の対等関税は、この停止期間中も有効。)
  • 米国は、現行の301条関税除外措置の有効期限(2025年11月29日)を2026年11月10日まで延長する。
  • 米国は、2025年11月10日から1年間、「特定のリスト企業の関連会社を対象に含めるエンドユーザー管理拡大規則」と題する暫定最終規則の実施を停止する。
  • 米国は、2025年11月10日から1年間、中国の海事、物流、造船分野の支配を対象とする301条調査に基づく対応措置の実施を停止する。その間、米国は301条に基づく中国との交渉を続け、同時に韓国および日本と協力し、米国造船業の再生を推進する。

米国民のためのもう一つの勝利の確保

この貿易および経済協定は、トランプ大統領の成功したアジア歴訪を締めくくるものであり、大統領はこの訪問で米国民にとって一連の歴史的な成果をもたらした。

  • マレーシアでは:トランプ大統領はマレーシアおよびカンボジアと相互貿易協定を締結し、米国はタイおよびベトナムとの貿易交渉に関する共同枠組みを発表した。また、タイおよびマレーシアと重要鉱物に関する協力協定に署名した。
  • 日本では:トランプ大統領は、日本による対米投資5,500億ドル規模の約束を前進させる主要プロジェクトを発表し、日本と重要鉱物に関する画期的な協定に署名した。さらに、日本からの米国産エネルギーの歴史的購入を確保し、違法薬物取引への対抗における米日協力を強化した。
  • 大韓民国では:大統領は、アメリカの雇用を支え、エネルギー支配を強化し、技術革新を推進し、米韓海事パートナーシップを構築するための数十億ドル規模の投資約束を確保した。

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