中国と米国の対立が深まるなか、戦略資源としてのレアアースが世界的に高騰している。オーストラリアの資源王ジーナ・ラインハート氏が、こうした地政学的変化を背景にレアアース分野への投資を急拡大している。
ラインハート氏が率いる鉱山大手ハンコック・プロスペクティング社は、ブラジルのアラシャ鉱山を開発するセントジョージ社に対し、2,205万豪ドルを追加出資し、鉱山開発を加速させる方針だ。
ラインハート氏はすでに、米国のMPマテリアルズとオーストラリアのライナスという「西側二大レアアース企業」双方の主要株主でもあり、かつて両社が検討した合併構想にも関与していた。
同氏が保有するレアアース関連資産の評価額は、わずか半年で約8億豪ドルから34億豪ドルへと急増した。とくに、中国以外で最大のレアアース生産者であるライナス・レアアース(Lynas Rare Earths)の株式は、7週間で5億豪ドル以上上昇し、評価額は17億豪ドル近くに達している。また、出資のアラフラ・レアアース(Arafura Rare Earths)の株価も急騰し、直近では0.19豪ドルの公募価格で約1億豪ドルを調達するなど、資金基盤を強化している。
背景には、中国政府が先週発表したレアアースおよび関連技術・設備・製品の輸出規制がある。防衛、風力発電、ロボットなどの戦略産業に不可欠なこれらの元素が一斉に注目を集め、豪州市場でも関連銘柄が軒並み上昇した。