オーストラリア政府は5月18日、希土類(レアアース)開発企業ノーザン・ミネラルズ(Northern Minerals Ltd)に出資する中国関連投資家6者に対し、保有株式の売却を命じた。豪政府が同社の株主に対して売却命令を出すのは、2024年に続き2回目となる。
この判断は豪財務省および外国投資審査委員会(FIRB)の助言に基づくもので、「国家利益の保護」と「外国投資制度の順守確保」が目的だとしている。
対象となったのは、香港、中国本土、英領バージン諸島などに登録・所在する6者で、Vastness Investment Group Limitedなどが含まれる。ノーザン・ミネラルズの発表によると、売却命令の対象株式は合計16億7,889万5,780株で、同社発行済み株式の約17.58%に相当する。売却期限は2026年7月2日とされている。
同社は、西オーストラリア州で重希土類プロジェクト「Browns Range」を推進している。同プロジェクトはジスプロシウム、テルビウムなどを豊富に含み、中国以外の重要な供給源として位置づけられている。永久磁石や防衛関連用途で重希土類の需要が高まるなか、その戦略的重要性も増している。
■2024年から続く豪政府の介入
豪政府によるNorthern Minerals株主への介入は、今回が初めてではない。2024年6月、豪政府は国家安全保障上の懸念を理由に、中国関連投資家5者に対し、同社株の売却を命じていた。
その後、一部株式が香港の投資家 Hong Kong Ying Tak Limited に移転されたことを受け、豪当局は中国関連投資家による影響力が実質的に維持されている可能性を問題視した。これを受け、豪政府は2026年4月、Hong Kong Ying Tak Limitedによる議決権行使や株式移転を制限する暫定措置を実施した。
さらに豪政府は2025年、2024年の売却命令違反をめぐり、法的措置を開始したことも公表している。チャーマーズ財務相は当時、外国投資制度の健全性を守る姿勢を強調していた。
■重要鉱物分野で強まる対中規制
近年、米国、オーストラリア、欧州各国は、レアアースや重要鉱物分野での中国依存の低減を進めている。特に重希土類は、EV、風力発電、防衛装備、半導体などに不可欠な資源とされ、西側諸国では供給網の再構築が重要政策課題となっている。
今回の措置は、豪州が重要鉱物分野における中国資本への監視を一段と強化していることを示す動きとみられる。
一方、中国外交部は今回の措置について、中国企業や投資家の正当な権益を尊重し、公平かつ非差別的な投資環境を提供するよう豪州側に求めている。
