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一、背景
中国では希土類採掘及び分離精錬枠(生産量上限)について、政府が年に2回に各関係企業、省/自治区に通知を発行し、採掘及び分離精錬枠を決めている。各企業、省/自治区は国が決めた生産枠を超えた生産が禁止されている。
中国政府が決めた生産枠によって、世界のレアアースの需給関係が変わると言っても過言ではないため、毎年2回の生産枠公開が注目を集めている。
二、今回の発表内容
2023年9月25日に、中国政府(工業情報部および自然資源部)から、第2回の希土類の採掘、分離精錬の生産枠について、通知を発行した。具体的な生産枠は下記の通りである。
軽希土類の採掘枠は、合計111,793トンであり、うち世界最大の希土類資源供給会社北方希土社は、85,707トン(全体の76.7%)である。重希土類の採掘枠は8,207トンであり、うち中国最大の重希土類生産会社中国希土社は5,576トン(全体の68%)の生産枠を占めている。分離精錬枠は、111,500トンであり、北方希土社は最大で、78,831トン(全体の69%)の生産枠をアサインされた。
三、各採掘枠、分離精錬枠の前年比、前回比
1.軽希土類
今回発表の軽希土類の採掘枠は、2023年第1回(上半期)より2.5%増で、昨年同時期の2022年第2回(下半期)より10.1%増となっている。2023年全体でみると、前年比15.7%増の合計220,850トンの採掘枠である。
2.重希土類
今回発表の重希土類採掘枠は、2023年第1回(上半期)より25%減で、昨年同時期の2022年第2回(下半期)より7.1%増となっている。
2023年全体の採掘枠は、昨年同様(増減なし)の合計19,150トンである。
3.分離精錬枠
今回発表の分離精錬枠は、2023年第1回(上半期)からの増減がなく、昨年同時期の2022年第2回(下半期)より9.7%増となっている。
2023年全体の分離精錬枠は、昨年より13.9%増の合計230,000トンである。
四、2019年からの各生産枠の推移
2019年からの中国の希土類生産枠推移は、下図の通りである。