ロイター通信の報道によると、カナダ政府は、2025年から中国製の太陽光製品や重要鉱物に新たな関税を課す方針を発表した。ジャスティン・トルドー首相率いる政府は、すでに中国製の電気自動車(EV)に対し100%の関税を、中国製の鉄鋼およびアルミニウム製品には25%の関税を適用している。さらに、今回の決定は、関税対象の範囲をさらに拡大する動きとして注目されている。
12月16日に発表された財政報告によれば、新たな措置として2025年初頭から中国製の一部太陽光製品や重要鉱物の輸入に関税が適用される予定。また、2026年からは半導体、永久磁石、天然黒鉛(グラファイト)も対象となる。具体的な関税率や対象製品の詳細は明らかにされていないが、近く追加情報が発表される見込みだ。
背景と目的
財政報告は、これらの措置が中国の非市場的な取引慣行に対抗し、公正な競争を保つことを目的としていると指摘している。中国の過剰な生産能力が市場を歪め、北米全体に不公平で有害な影響を与えているとの認識が背景にある。
トルドー政権はこれまでも中国の影響力拡大に対し懸念を示し、国内産業を保護するための政策を推進してきた。特に、安価な中国製品の流入が国内雇用に与える悪影響を防ぐことが重要視されている。
既存の関税とさらなる対策
現在、カナダは中国製EVに対して厳しい関税を課しており、他の製品にも高関税を適用している。財務省は以前から、関税対象のさらなる拡大を検討していることを明言していた。今回の発表は、その具体化の一環とみられる。
新たな関税政策が実施されれば、カナダ国内の産業保護に一定の効果が期待される一方、中国との貿易関係における緊張がさらに高まる可能性がある。詳細が公表され次第、さらなる議論が行われる見通しだ。