海外メディアによると、米国のクリティカルマテリアルズ社(US Critical Materials)はモンタナ州シープクリークの採掘権地で戦略的に重要な高品位ガリウム鉱床を発見したと発表した。
米国地質調査所(USGS)のデータによると、米国のガリウム消費はほぼ完全に輸入に依存しており、その約98%が中国からの輸入である。中国は2023年8月よりガリウムの輸出規制を開始した。
昨年、クリティカルマテリアルズ社は長年の投資不足が米国の原材料の輸入への依存を深刻化させていると警告していた。米国防総省は、国防授権法案の資金を用いて、廃水からガリウムとゲルマニウムを回収する計画を立てている。
米国エネルギー省のスポークスマン、ジェフ・ユルゲンセン氏は、「ガリウムとゲルマニウムの5年間の探査開発計画が始まっており、2025会計年度にはこれらの金属の生産ができる」と述べた。
昨年12月、同社はアイダホ国立研究所との協定により、ガリウム分離を含む新しい希少金属処理法の共同研究を開始した。
「高品位のガリウムを有し、環境に優しい分離工程を開発できる自信がある」と同社の社長ジェームズ・ヘンドリック氏は述べた。「本プロジェクトのガリウム品位は平均で0.03%、最高で0.137%に達し、商業開発のための基準品位は0.005%である」。
ガリウムの重要性
ガリウムは半導体産業で重要な役割を担っている。特にガリウムヒ素やガリウム窒化物は、高速通信技術、LED、太陽電池などに利用され、シリコンを上回る性能を発揮する。ガリウムを含む材料は高い電子移動率と広い温度範囲での安定性を持ち、5G通信や宇宙技術に不可欠である。これらの特性から、ガリウムの需要は将来も増加が見込まれる。
ガリウムの主要産出国
中国は世界のガリウム供給の大部分を占め、中国の鉱山と製錬所からの生産量が最も多い。ガリウムは特定の鉱石から直接採掘されるわけではなく、主にアルミニウムや亜鉛の製錬過程で副産物として得られる。そのため、これらの金属の生産量が多い国がガリウムの主要生産国となる傾向にある。
■ご参考
なぜ、中国はガリウムとゲルマニウムを輸出規制するのか? | 株式会社レアリサ (rareresearch.co.jp)
US Critical Materials makes gallium discovery at Sheep Creek in Montana – MINING.COM