インド、2024-25年度に重要鉱物の輸入関税を免除

インド政府は、25種類の重要な鉱物と粗銅の輸入関税を引き下げまたは撤廃することを発表した。これは、戦略的セクターを強化し、輸入依存を減らすための取り組みの一環として、ニルマラ・シタラマン財務大臣が2024-25年の連邦予算で発表した。

戦略的セクターの強化

シタラマン財務大臣は、リチウム、銅、コバルト、希土類が核エネルギー、再生可能エネルギー、宇宙、防衛、電気通信、ハイテク電子製品などの産業にとって極めて重要であると強調。これらの鉱物に対する関税免除は、これらの重要なセクターでの利用可能性を確保し、鉱物の処理と精製を促進するためのもの​。

鋼と銅の生産コストの削減

今回の政策変更により、鋼や銅の生産コストを削減するために、ニッケルやブリスター銅などの必須材料が対象とされる。特に、フェロニッケルとブリスター銅に対する基本関税(BCD)が完全に撤廃。また、廃鉄とニッケルカソードに対するゼロ関税も継続される。これに加えて、銅スクラップに対しては2.5%の譲許的基本関税が提案されている​​。

貴金属に対する関税の調整

さらに、金や銀などの貴金属の輸入関税も引き下げられ、プラチナの関税は6.4%に設定。これにより、国内での貴金属ジュエリーの付加価値を高めることを目的としている​ ​。

重要鉱物ミッションの開始

インド政府は、重要鉱物ミッションも開始し、基本的な鉱物の供給チェーンを強化することを目指している。これは、民間および公共部門が長期的な競争力を高めるための取り組みの一環。

インド政府のこの政策は、戦略的セクターの強化と国内産業の競争力向上を目指したものであり、今後の経済発展に向けた重要なステップとなる。

インドの希土類埋蔵量及び開発状況

インドは世界全体の約6%に相当する希土類元素の埋蔵量を保有している。具体的には約10.7百万トンの希土類酸化物を含む。国営企業Indian Rare Earths Ltd. (IREL)は、オリッサ州で新たな処理プラントを建設し、年間11,000トンの希土類塩化物を生産する予定で、既にケララ州に小規模なプラントも稼働している​​。

インドは今後10年間で希土類鉱石の採掘能力を400%拡大する計画を立てており、これにより年間13,000トンの精製希土類を生産することを目指している​​。しかし、鉱石の品質が低いため、処理が難しくコストが高いことや、鉱業許可の取得に時間がかかることが課題となっている​ 。

インドは、国内の希土類産業の強化と供給チェーンの確立を目指しているが、中国の支配を覆すには至っていない​​。

■参考

Budget 2024 Key Takeaways: 24 IMPORTANT Points You Should Know | Budget 2024 News, ET Now (etnownews.com)

Budget 2024: FM Nirmala Sitharaman announces reduction in basic customs duty on steel and copper | Mint (livemint.com)

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