米半導体大手インテルは、最近提出した四半期報告書において、希土類(レアアース)を含む原材料の供給リスクを主要な経営リスクの一つとして挙げた。地政学的緊張の高まりや国際貿易政策の不確実性、特に中国による輸出規制が、同社の事業運営や製品製造能力、コスト構造に重大な影響を及ぼす可能性があるとして、警戒感を示している。
地政学的リスクと希土類供給の不確実性
報告書では、「最近の地政学的緊張の高まり、国際貿易政策の変動性と不確実性、特に関税や輸出規制を含む要因が、当社の事業、競争市場、世界経済に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。さらに、同社のサプライチェーンは、希土類鉱物を含む複数の原材料に依存しており、これらの入手が困難になる、あるいはコストが増加することで、製品製造に支障を来す可能性にも言及している。
中国の輸出規制と世界的な影響
2025年4月、中国政府は重希土類を含む7種の希土類元素および関連製品を輸出管理リストに追加し、輸出には政府の許可取得を義務付けた。この新たな措置により、米国や日本を含む多くの企業が、希土類磁石の調達に苦慮している。ロイター通信によると、自動車業界ではゼネラルモーターズ、トヨタ、フォルクスワーゲン、ヒュンダイなどが、供給不足により一部の生産ラインが停止する可能性に言及している。
中国政府は、国内および欧州の半導体メーカーに対しては一部輸出規制の緩和を検討しているものの、米国企業への対応は限定的にとどまっており、インテルをはじめとする米企業の供給リスクは依然として高い状態が続いている。