EUが資金提供するMagNEOプロジェクトは、3Dプリントによる永久磁石の生産を目指し、予算は7,713,280.99ユーロにのぼる。新たな産業をヨーロッパに築くため、このプロジェクトは48か月間にわたり運営される。
プロジェクトの中心となるのは、AlNiCoおよび高エントロピー合金(HEA、High Entropy Alloy)のコンポーネントの3Dプリント技術である。これにより、従来の製造方法では困難だった新しい材料成分を探索し、最適な微細構造を設計することが可能となる。また、プロジェクトは粉末床溶融のパラメーターを開発し、戦略を策定することも目標としている。重要な要素は、結晶粒の配向制御にある。
さらに、MagNEOはこれらの磁石のリサイクル戦略を策定し、材料の再利用を図る。試作生産に移行した後、プロジェクトは永久磁石を製造し、その環境への影響とリサイクルの選択肢を評価する計画である。実験室から製造への移行にはシミュレーションソフトウェアが広く活用され、最終的には重量1キログラムを超える3Dプリント磁石の生産を目指す。
このプロジェクトには、10か国から16のパートナーが参加している。総コーディネーターはノルウェーの研究機関Sintefであり、デジタル製造フレームワークのBiog3D、ギリシャの粉末リサイクル会社Conify、フィアットの研究開発センター(現在は自動車メーカーStellantisの一部)、およびニコンのSLM Solutionsが関連コーディネーターとして名を連ねている。
MagNEOプロジェクトは、3Dプリント技術を活用した革新的な製造プロセスとリサイクル戦略を通じて、ヨーロッパに新しい産業の未来を切り開くことを目指している。
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