ベルギーの化学大手ソルベイ(Solvay)は、フランス西部のラ・ロシェルにおいて新たにレアアース(希土類元素)の加工・精製ラインを立ち上げたと発表した。これは中国以外では最大規模のレアアース分離施設となる。
ラ・ロシェル工場は1948年から稼働を続けており、これまで17種のレアアースの一部を精製してきた。今回の拡張により、同工場は来週から新たに3種の重要なレアアースの処理を開始する。これらは、先端電子機器、防衛システム部品、そして永久磁石を使用するモータや風力タービンなどに不可欠な材料であり、欧州が戦略的に確保を進めたい分野と一致している。
ソルベイは、2030年までに年間4,500トンのレアアースを生産し、欧州市場の約30%を担うことを目標として掲げている。2024年内には、まず数百トン規模の生産を予定しており、段階的な拡大を計画している。しかし、同社CEOのフィリップ・ケレン氏は慎重な姿勢を示している。「現在、我々の製品には実質的な市場が存在していない。中国は我々よりも低価格で世界市場に供給可能な能力を持っており、それが慎重に投資を進めている理由だ」と語った。
現在のところ、ソルベイは数百万ユーロ規模の初期投資にとどめ、今後の市場の成長と欧州域内での需要動向を注視している。