米国のEnergy Fuels社は6月25日、オーストラリア・ビクトリア州政府より、(豪)Astron社と共同で進めるレアアース事業「ドナルド・プロジェクト」に関する作業計画の最終承認を取得したと発表した。これにより、建設および操業に必要な主要規制手続きがすべて完了し、2025年末に予定される最終投資判断に向けた準備が本格化する。
軽・中・重希土類を一体的に供給
ドナルド・プロジェクトは、ビクトリア州ウィメラ地域に位置する鉱床で、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)といった商業・再生可能エネルギー・防衛分野で不可欠な軽・中・重希土類酸化物をバランス良く含むことで知られている。採掘された鉱物は、Energy Fuelsが所有・運営する米ユタ州のホワイトメサ製錬所へ輸送され、高純度の希土類酸化物として分離・精製される。
2026年に年間8,000トンの精鉱生産を目指す
フェーズ1の生産は早ければ2026年にも開始される予定で、年間7,000~8,000トンの希土類鉱物精鉱が供給される見込みだ。その中には、推定4,700トンの総希土類酸化物が含まれ、内訳は約990トンのNdPr(ネオジム・プラセオジム混合物)、84トンのDy酸化物、14トンのTb酸化物に達する見通し。
ホワイトメサ製錬所は、現行能力でフェーズ1の処理に対応可能であり、加えて中・重希土類の本格分離に対応する「フェーズ2拡張計画」も進行中だ。フェーズ2が完了すれば、年60,000トンの希土類鉱物精鉱を処理可能となり、最大6,000トンのNdPrや大量のジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)酸化物などを供給できる体制が整う。将来的には、ドナルド・プロジェクトからの供給がこの処理能力の22~23%を占める見込みである。
米豪連携による持続可能なレアアース供給網
Energy Fuels社のマーク・チャーマーズCEOは、「ドナルド鉱床は、軽・中・重の希土類酸化物を一体的に含有する、世界的にも稀な資源である。今回の承認は、米国とオーストラリアの間で戦略的レアアース供給網を構築する上で大きな前進となる」と述べている。