米ナスダック上場のクリティカル・メタルズ(Critical Metals)は、グリーンランド南部に位置するタンブリーズ(Tanbreez)レアアースプロジェクトの持株比率を42%から92.5%へ引き上げると発表した。取引の完了にはグリーンランド政府の承認が必要で、10〜11月の成立が見込まれている。これにより同社は、世界最大級の重希土類鉱床の実質的な支配権を確保する見通しだ。
タンブリーズ鉱床の推定総資源量は約4億5,000万トン。このうち2億5,400万トンが確定埋蔵量とされ、全希土酸化物(TREO)平均品位は0.37%を示す。さらに資源の約27%が重希土類(HREE)に分類され、欧米市場で需要の高いジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)を豊富に含む点が特徴だ。
今回の動きは、英国・EU諸国とグリーンランドの間で進行中の「重要鉱物パートナーシップ構想」とも連動しているとみられる。グリーンランドの外務大臣はすでに、「欧州との関係拡大と鉱物資源開発を一体化させたい」と発言しており、同島のレアアース開発は西側諸国によるサプライチェーン再構築の一環として注目を集めている。
一方で、グリーンランドは厳しい自然条件とインフラ未整備、さらに環境保全コストの高さといった課題を抱える。したがって、実際の商業開発には欧州側の後方支援や技術移転が不可欠とみられる。