米国のレアアース大手 MP Materials は11月19日、米国防総省(DoW)およびサウジアラビアの国営鉱山会社マアデン(Maaden)と連携し、サウジ国内にレアアース精製プラントを建設する戦略的合弁事業を開始すると発表した。これは、ワシントンで今週署名された米サウジ間の「重要鉱物サプライチェーン協力枠組み」に基づく取り組みで、米国と同盟国のレアアース供給多角化に向けた大きな節目となる。
今回の合弁は、サウジの豊富な資源、低コストのエネルギー、国際物流拠点としての地理的優位を活用し、軽希土から重希土に至るまでの分離・精製体制を構築する計画だ。原料はサウジ国内資源と海外ソースの双方を想定し、精製した酸化物は米国とサウジの製造・防衛産業、さらに同盟国にも供給される。合弁会社の出資比率は、マアデンが最低51%を保有し、米側が49%を保有する。
MP Materials は米国唯一の一貫型レアアース企業として知られ、カリフォルニア州マウンテンパスの大規模鉱山を運営するほか、テキサス州で高性能磁石の製造にも乗り出している。今年7月には DoW と数十億ドル規模の官民パートナーシップを締結し、米国内での重希土分離設備拡張と磁石製造拡大を進めている。
今回のサウジでの合弁により、同社は上流から下流までの事業領域を世界規模で拡大し、米国および同盟国のレアアース供給網強化に一層大きな役割を果たすことになる。米側にとっても、中国への依存を減らし、経済安全保障を高める戦略的な意味を持つ。
