カナダのAclara Resources社は、アジア以外で初めて、重希土類ディスプロシウム(Dy)とテルビウム(Tb)の一貫生産体制を構築することを目標としている。
同社が進める計画の成否は、チリのペンコ(Penco)鉱山とブラジルのカリナ(Carina)鉱山が2027年までに予定通り生産を開始できるかにかかっている。これら2つのプロジェクトの生産量は、世界全体の重希土類生産量の約20%に相当すると見込まれており、これらの元素はクリーンエネルギー技術や電気自動車(EV)の永久磁石にとって不可欠な素材である。
同社のホセ・アウグスト・パルマ副社長は今月、米国で行われた鉱業関連会議で、「ペンコとカリナプロジェクトによる年間生産量は、約800万台の電気自動車需要を賄える」と述べた。
Aclara社は、以下の4つの分野での事業展開を計画している:
- 採鉱:チリのペンコ鉱山(環境影響評価中)およびブラジルのカリナ鉱山における希土類採掘。この2つの鉱山は、年間241トンのディスプロシウム・テルビウムと1,475トンのプラセオジム-ネオジム酸化物の生産能力を持つとされる。
- 分離:米国に希土酸化物の製造工場を建設予定。この工場では、希土類の分離プロセスを行い、金属および合金生産技術を開発する計画である。
- 金属・合金:チリの鉄鉱石生産会社CAP社との合弁事業「REE Alloys」が、主に希土類永久磁石向けのディスプロシウム・テルビウム金属の生産を担う。
- 永久磁石:ドイツのVacuumschmelze社と提携し、磁石サプライチェーンの強化および需要側との関係構築を目指す。
Aclara社の挑戦は、クリーンエネルギー技術や電動化の未来を支えるだけでなく、希土類の供給網において中国への依存を脱却しようとする西側諸国の戦略においても重要な一歩となる。