ライナス社、カルグーリー加工施設を開設 世界市場での存在感を強化

ライナスレアアース社(ASX: LYC)が西オーストラリア州カルグーリーに希土類加工施設を正式に開設した。これにより、オーストラリアは世界の希土類サプライチェーンにおいて重要な役割を担うことを目指し、大きな前進を果たした。

オーストラリアは豊富な希土類資源を有しており、中国への依存を減らし、国際的なサプライチェーンを強化する戦略を進めている。この施設は、成長を続けるグローバル市場での地位を確立する重要なステップとなる。

政府からの支援と地域経済への貢献

連邦政府と西オーストラリア州政府もこの施設の重要性を認めている。資源・北オーストラリア担当大臣のマデリン・キング氏は、開所式で「カルグーリーにとって画期的な出来事であり、西オーストラリア全体、さらにはオーストラリアにとって大きな一歩だ」と述べた。

施設では、近隣のマウント・ウェルド鉱山から採掘した鉱石を処理し、混合希土類炭酸塩を生産する。

「この施設はオーストラリア初の希土類加工施設であり、中国以外では最大規模となる」とキング氏は強調。

希土類がもたらす広範な影響

キング大臣は、希土類が電気自動車、太陽光パネル、風力タービンといったクリーンエネルギー技術や、防衛産業、医療機器に不可欠な資源であると指摘。「こうした施設は、オーストラリアの経済基盤を強化すると同時に、グローバルなエネルギー移行において重要な役割を果たす」と述べた。

ライナスの成長戦略

ライナスのアマンダ・ラカーズCEOは、この施設が2025年の成長計画の柱となることを明言した。8億ドルを投じたこの施設は、建設許可取得から2年半という短期間で完成した。

「このプロジェクトは、オーストラリアで初めて下流加工を実現したものであり、私たちのチームが挑戦を乗り越え、新たな産業を創出したことを誇りに思う」と語った。

現在、施設はフル稼働しており、混合希土類炭酸塩を生産している。この製品はマレーシアのライナス施設で精製され、最終的には米国の新工場で利用される予定だ。

今後の課題と展望

トムキンソン氏は、希土類資源を市場に供給するためには、プロジェクト評価の迅速化、産業用地の拡大、低コストで安定したエネルギー供給が必要であると述べた。

オーストラリアは、世界で最も希土類資源が豊富な地域の一つとして、この施設を足がかりにさらなる発展を目指す。

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