米国初の完全統合型希土類磁石製造施設建設が進行中 脱中国依存

米国のMPマテリアルズ社(MP Materials)は4月1日、政府から5850万ドルの税控除を受け、米国初の完全統合型希土類磁石製造施設の建設を進めると発表した。

この取り組みは、温室効果ガス排出量を削減する目的を持つ税額控除プログラムの一環である。エネルギー省(DOE)、財務省、内国歳入庁(IRS)が発表したセクション48Cプログラムは、全米35州の100以上のプロジェクトに資金提供している。

施設はテキサス州フォートワースに建設中で、2022年4月に着工した。7億ドルの投資の一部として、米国内での希土類磁性部品サプライチェーンを完全に復活させる目的がある。現在北米のパイロット施設でNdFeB磁石の前工程材料(ブロック)を生産中で、今夏にフォートワースでの商業生産を開始し、2025年後半に磁石の量産を目指す。

このプロジェクトの主要顧客はGMで、北米での電気自動車(EV)生産を支援するために最終供給契約を締結している。NdFeB磁石は、EVだけでなく、ロボット、風力発電、ドローン、防衛システムなど多岐にわたる技術に不可欠だ。

施設の年間NdFeB磁石生産能力は約1,000トンで、EVモーター約500,000台分の生産を賄える量だ。原材料は、米国で唯一の大規模レアアース鉱山および分離施設を運営するカリフォルニア州マウンテンパスから調達し、その生産量の約15%を占める。この工場では、マウンテンパスで生産された酸化物NdPrをNdPr金属に還元し、NdFeB合金と完成品の磁石に製造される。

この取り組みにより、NdFeB磁石の国内生産が強化され、自動車、再生可能エネルギー、防衛など幅広い産業に必要なモーターや発電機の製造を可能にする。これらの磁石需要は、電気自動車や持続可能なエネルギーソリューションの成長により高まっており、MP Materialsの施設はその需要を満たす重要な役割を果たす。

税控除の発表を受けてMP Materialsの株価は上昇し、時価総額は26億ドルに達した。このプロジェクトは、国内製造業の強化とクリーンエネルギーへの移行を促進することで、米国の経済と環境に貢献すると期待される。

■ご参考

MP Materials – MP Materials Awarded $58.5 Million to Advance U.S. Rare Earth Magnet Manufacturing

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