近年、レアアース関連分野において、人型ロボットが急速に注目されている。特に、中国の春節番組(中国版紅白歌合戦)で披露された人型ロボットのダンスパフォーマンスや、中国政府が民営企業経営者との懇談会で人型ロボット企業を招いたことがきっかけで、資本市場や磁性材料関連企業の関心が急拡大している。
人型ロボットには多数のモーターが搭載されており、機種や世代によって差はあるものの、一台のロボットには一般的に約2kgのネオジム(NdFeB)磁石が必要とされる。世界銀行などの統計によると、2030年には市場販売台数が150万台に達すると予測され、2035年には800万台に急成長する見込みだ。この成長に伴い、NdFeB磁石の需要も16,000トンを超えると予想され、レアアース業界にとって新たな成長市場となるだろう。現在、中国の一部自動車メーカーの製造現場では、すでに人型ロボットが導入されている。
このような市場の動向を受け、磁性材料関連の各社は急ピッチで事業展開を進めている。以下に、主要な磁性材料企業の動きを紹介する。
- 正海磁材
多くの投資機関の調査によると、自社製品は人型ロボット用の中空カップモーターやフレームレスモーターなどの主要部品に高い適合性を持ち、すでに複数の顧客と共同開発や試作品供給を進めており、順調に進捗している。昨年12月には、人型ロボット業界で「最も価値のある企業」と評価された。 - 天和磁材
投資家向けの情報公開プラットフォームにおいて、人型ロボットが高性能NdFeBの重要な需要増加要因の一つであると説明。自社製品は、人型ロボットの中空カップモーターやフレームレスモーターなどの部品に使用可能であり、現在、ロボットモーター関連の顧客に試作品を提供している。 - 金力永磁
顧客と連携し、人型ロボット用の磁気コンポーネントの開発を積極的に進めており、すでに少量の試作品を納入している。 - 大地熊
投資家向け情報によると、高性能焼結NdFeB磁石を人型ロボットの関節モーターや中空カップモーターに応用できると説明している。
今後、人型ロボット市場の急拡大に伴い、NdFeB磁石をはじめとする磁性材料の需要が大幅に拡大すると見込まれる。関連企業各社の動向に注目が集まる中、技術革新と市場競争が一層激化していくことが予想される。