オーストラリアの希土類開発会社 Peak Rare Earths は、中国・盛和資源の子会社による同社全株式取得について最新情報を発表した。ニューサウスウェールズ州最高裁判所は本件買収を承認し、この決定によりPeakの株式はオーストラリア証券取引所で取引停止となる。これに伴い、同社の所有構造に大きな変化が生じる。盛和資源はこれまでにもPeakと戦略的関係を築いてきたが、今回の完全子会社化によって関係はさらに強化される。
Peakの主力資産は、タンザニア南部に位置する Ngualla希土類プロジェクト だ。この鉱床は世界有数の規模と品位を誇り、ネオジム・プラセオジム(NdPr)の含有率が高く、不純物や放射性元素の含有量が低い点が特徴とされる。
採掘可能埋蔵量
- 数量:1,850万トン(18.5 Mt)
- 平均品位:希土類酸化物(REO) 4.80%
- 含有量:88.7万トン(887 kt REO)
Peakは2023年に盛和資源と7年間のオフテイク契約を締結したほか、2024年には盛和がNguallaプロジェクトを所有する事業体の株式50%を取得する合意も発表している。今回の完全買収は、こうした一連の資本関係強化の延長線上にあるといえる。
この動きは、中国企業によるアフリカ資源権益の拡大戦略の一環とみられ、国際的なレアアース供給網にも影響を及ぼす可能性がある。特に、電動モーターや再生可能エネルギー分野に不可欠なNdPrの安定供給をめぐって、地政学的な注目が一層高まると見込まれる。