米アップル社、MP マテリアルズと5億ドル規模の提携を発表

米アップル社と、MP マテリアルズは7月15日、100%リサイクル素材を用いて米国内でレアアース磁石を製造・供給する長期パートナーシップを締結したと発表した。契約規模は5億ドルに達する。

米国製リサイクル磁石、Apple製品に全面採用へ

この提携により、MP マテリアルズはカリフォルニア州マウンテンパス拠点で再処理したリサイクルレアアース原料を活用し、テキサス州フォートワースの製造拠点でネオジム磁石を製造する。これらの磁石はiPhoneやMacBookなどアップル製品全般に搭載され、2027年から出荷が始まり、数億台規模の供給へと拡大される見込みだ。

アップルとMP マテリアルズは、過去約5年間にわたり、使用済み磁石や産業廃棄物からレアアースを回収・再処理するリサイクル技術の共同開発を行ってきた。今回の提携は、その成果を商業ベースで実用化する大きな一歩となる。

MP マテリアルズはマウンテンパス施設において、使用済み磁石スクラップや回収部品など多様な入力材を処理可能な新たなリサイクルラインの構築を進める。また、今回の提携と並行して、米国防総省との官民連携の一環として、フォートワース工場の磁石製造能力も大幅に強化される予定だ。

MP マテリアルズの創業者兼CEO、ジェームズ・リティンスキー氏は次のように述べている:
「アップルとの協業により、当社のリサイクルプラットフォームを本格稼働させ、磁石事業の拡大を実現できることを誇りに思います。この提携は、垂直統合の深化、サプライチェーンの強靱化、そして米国の産業基盤の強化に大きく貢献するものです。」

サステナブルで強靭な国内供給網の構築へ

レアアース磁石は、スマートフォンやコンピュータをはじめ、自動車、再生可能エネルギーシステムなど、幅広い分野で不可欠な部材である。アップルは2019年に「iPhone 11」の振動装置において、業界で初めてリサイクルレアアースを採用。それ以降、ほぼすべてのアップル製品に使われる磁石が100%リサイクルレアアースで構成されている。

今回のパートナーシップは、米国内におけるレアアースの完全なサプライチェーン再構築を加速させるとともに、廃棄物の削減や資源循環の高度化、さらには持続可能な製造の推進にも寄与するものと期待される。

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