カナダSRCと米国REalloys、北米初の統合型レアアース供給網構築へ

12月8日、カナダ・サスカチュワン州政府および研究評議会(SRC)は、米国のレアアース・磁石メーカーREalloys(REA)と歴史的な提携契約を締結したと発表した。両者はこの合意により、北米で初となる「採掘から金属化まで」を一貫して行うレアアース供給網の確立を目指す。

中核となるのは、SRCがサスカトゥーンに建設中のレアアース加工施設から生産されるネオジム・プラセオジム(NdPr)金属およびジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)酸化物について、REAが5年間にわたり大部分を購入するオフテイク契約だ。これにより、SRCは安定した収益基盤を確保し、REAは米国防産業向け供給に必要な規制対応を満たすことが可能となる。

さらに両社は、同地での大規模レアアース分離・金属化複合施設の可行性調査にも共同で取り組む。この施設が実現すれば、世界最大級かつ最先端の中流拠点となり、サスカチュワン州を世界的な重要鉱物ハブとして位置付けるとともに、数百人規模の雇用創出が見込まれる。

SRCの施設は、鉱物処理、分離技術、金属精錬を備え、2027年初頭の本格稼働を予定している。フル稼働後は、NdPr金属を年400トン(将来的に600トン)生産するほか、Dy・Tb酸化物および金属も供給する計画だ。生産量の大半はREAが引き取り、残りは国内外市場向けに販売される。

REAはSRCとの提携を通じ、軽希土類から重希土類までを商業規模で扱える西半球唯一の統合型プラットフォームを構築するとしている。重希土類はEVモーター、防衛、再生可能エネルギー、航空宇宙など幅広い分野で不可欠だが、これまで北米には商業規模の精製能力が存在しなかった。

今回の合意は、中国依存からの脱却を目指す北米レアアース戦略における重要な転換点とされており、北米のサプライチェーン強靱化に大きな影響を与えるとみられている。

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