世界最大の希土類供給者である中国の北方希土社は2023年度の決算報告を発表し、売上、純利益、生産量および2024年の目標について詳細を公開した。
一、2023年の売上及び純利益
報告によると、2023年の売上は334.97億元で、前年比10.10%減少し、純利益は23.71億元で前年比60.38%減少した。
二、2023年の希土類生産量
中国政府は希土類生産企業に対し、年間の生産枠(生産量上限)を設定している。2023年には、北方希土社の希土類生産枠は、史上最高を記録した。同年中国政府(工業情報化省と自然資源省)は希土類の採掘および精錬分離の生産枠を三度にわたって発表した。2022年と比較して、2023年の希土類生産枠は21万トンから25.5万トンへ増加し、増加分は全て軽希土類であり、増加率は21.43%であったが、中重希土類は変化なし。
北方希土に割り当てられた採掘生産枠は178,650トンで、軽希土類採掘生産枠の75.75%、希土類生産枠の70.06%を占め、前年比で26.12%増加した。
2023年度の中国の希土類精錬分離生産枠は20.20万トンから24.385万トンへ増加し、増加率は20.72%であった。同社に割り当てられた生産枠は163,234トンで希土類精錬分離枠の66.94%を占め、2022年と比較し26.60%増加した。
2023年には希土類精錬分離製品を酸化物に換算して17.49万トン生産し、前年比24.21%増加、希土類金属は3.08万トン生産し、前年比26.79%増加、機能材料は7.79万トン生産し、前年比15.67%増加した。これにより、希土類原料及び機能材料の生産量が新記録を更新した。
三、コスト削減の成果と市場の動向
年間製造コストは9.07%低下し、希土類加工コストは前年比で12.51%減少、物流コストは4.2%減少した。全プロセス、全工程でのコスト削減が顕著な効果をもたらした。
業界全体では、希土類製品市場の供給が安定しながらも増加し、希土類業界の川下の需要の成長が予想に及ばず、年初からプラセオジム・ネオジム製品を代表とする主要希土類製品価格が下落を続けていた。
四、2024年の目標
2024年4月から希土類価格が少しずつ上昇し始め、中長期的には新エネルギー自動車、工業用ロボット、風力発電、省エネ家電などの業界が急速に発展する中で、希土類の需要が安定して向上し、需要が増加していくとの前向きな見解が示された。
2024年の主要生産及び経営目標として、北方希土は売上高430億元以上、利益総額43億元以上を達成することを目指している。生産精錬分離製品は192,050トン、二次資源利用は3,600トン、希土類金属は26,200トン、機能材料は100,070トンを計画している。