豪ライナス、マレーシア・ケランタン州と原料供給で基本合意

オーストラリアのレアアース大手ライナス社(Lynas Rare Earths Ltd)はこのほど、マレーシア・ケランタン州政府の戦略投資機関である Menteri Besar(MB) Inc. と、レアアース原料の供給に関する覚書(MoU)を締結した。今回のMoUは法的拘束力を持たないが、将来的な正式契約の締結に向けた枠組みとなる。

MB Inc. にとって、ケランタン州内のレアアース資源開発は重点プロジェクトの一つと位置づけられており、両者はこのMoUを通じて、同州におけるレアアース産業の育成と協力体制の強化を目指す。また、プロジェクトが本格的に始動した際には、ライナス・マレーシアがクアンタンで運営する素材プラントへの原料供給に向けた正式契約の締結が見込まれている。

マレーシアには、イオン吸着型の粘土鉱床が存在し、特に重希土類の含有率が高いことで知られる。これらは電気自動車(EV)や先端電子機器などの次世代技術において不可欠な素材であり、将来的な供給源として大きな潜在力を有する。

ライナス社は今年5月、マレーシア工場において重希土類元素の初回分離生産に成功したと発表しており、今後は重希土類の本格的な生産と拡大が予定されている。中国政府による重希土類製品の輸出規制が強化される中、同社の動向は国際的にも注目を集めそうだ。

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