カナダMkangoとスペインInserma、希土類磁石のリサイクル技術で提携

カナダの鉱物探査・開発企業であるMkango Resourcesの子会社Maginitoが、スペインの電気機器サプライヤーInserma Anoiaと独占契約を締結。ハードディスクドライブ(HDD)、スピーカー、電動モーターから希土類磁石を回収するための前処理技術の商業化と最適化を目指す。今回の提携により、ネオジムなどクリーンエネルギー技術に不可欠な希土類のリサイクル分野で大きな進展が期待されている。

提携の背景と技術概要

この契約では、Insermaが開発した高度な移動式前処理装置を活用する。これらの装置はハイパースケールデータセンターやリサイクル施設に設置でき、HDDからボイスコイルモーター(VCM)をわずか3秒で抽出する。抽出されたVCMには希土類磁石が含まれており、Maginitoの関連企業であるHyProMagの磁石スクラップの水素処理(HPMS)技術に適した濃縮供給を可能にする。これにより、希土類磁石のリサイクル効率と持続可能性が大幅に向上する。

技術の展開と目標

MaginitoとInsermaは、英国、ドイツ、米国などで前処理装置を展開する計画。初期段階では3台の装置を購入し、技術の普及を促進する。最終的には、数百台の装置を世界中で展開し、さまざまな使用済み製品のリサイクルに対応することを目指している。この技術により、HDDのリサイクルにかかるコストとカーボンフットプリントを削減し、安全なデータ破壊とその後の破砕プロセスを効率的に行うことができる。

コメントと今後の展望

MkangoのCEOであるウィリアム・ドーズ氏は、Insermaの技術がHyProMagのHPMS技術を補完し、顧客に対して希土類磁石の回収を通じた循環型ソリューションを提供することを目指すとコメントしている。これにより、カーボンフットプリントとコストを削減し、従来は見過ごされていた価値の創出を可能にする。

Insermaのディレクターであるパコ・オルティス氏は、この提携によってInsermaの国際的な影響力が拡大し、両社のシナジーを最大限に活用できると述べている。さらに、Maginitoの他の株主であるCoTec HoldingsのCEOジュリアン・トレガー氏は、Insermaの前処理技術が急速に拡大するハイパースケールデータセンターからの供給を確保するための重要な鍵となると語っている。

MkangoとInsermaの提携は、希土類磁石リサイクル技術の普及と効率化に向けた大きな一歩となる。技術の展開により、HDDやスピーカー、電動モーターからの希土類磁石回収が効率化され、クリーンエネルギー技術に欠かせない資源の循環利用が促進される見込み。

▼Mkango社のプレスリリース内容

News | Mkango Resources Ltd.

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