Lynas Rare Earths Ltdは、2024年9月30日に終了した第3四半期の報告書で、希土類酸化物(REO)の生産量が増加し、堅調な財務実績を維持したことを明らかにした。
第3四半期のプラセオジム・ネオジム酸化物(NdPr)生産量は1677トンで、前期比11.5%増加。2025会計年度の1万500トンの目標に向け、順調に進んでいる。
価格低迷も回復傾向に、需給調整が影響か
希土類価格は低水準で推移したが、NdPr価格は期末にかけてわずかな回復が見られた。平均市場価格は1キログラムあたり48米ドル(税抜き)。CEOアマンダ・ラカーズは、「現在の低価格水準は多くの生産者にとって厳しい状況だ」とコメント。需給バランスに関しては、中国の輸入材料の減少や、低価格に直面する多くの生産者の動向が価格回復に寄与した可能性があると述べた。
特にNdPrについては、空調やエレベーターといったインフラ分野での需要が堅調なため、中長期的な価格上昇が期待される一方、ジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)は、技術革新による使用量削減の影響で価格上昇が限定的となる見込みだと述べた。
Lynasの主要プロジェクトの進捗状況
Lynasは将来の成長に向けて生産体制を強化するため、複数のプロジェクトを進めている。
- Mt Weld拡張プロジェクト: 第1段階の濃縮脱水回路がすでに運用を開始し、重要な節目を達成。第2段階の建設も進行しており、2025会計年度末までに完了し、段階的な稼働が見込まれている。
- Kalgoorlieプロジェクト: Kalgoorlie希土類処理施設の生産は安定化し、品質やコスト効率の最適化に注力。Mt WeldおよびLynasマレーシアからの生産量増加に合わせた供給調整が進められている。
- 米国プロジェクト: 米国内での希土類処理施設建設も進められているが、廃水管理に関する許認可問題が発生し、Seadriftサイトでの土木工事は一時中断された。新たな許認可取得を前提に再開を目指している。
Lynasは、これらのプロジェクトを通じて2025会計年度にNdPr生産能力を1万500トンに引き上げる計画を掲げており、今後も成長戦略を着実に進めていく。
◆Lynasの第3四半期報告書