アメリカの希土類供給網強化: 中国依存からの脱却へ

ここ数年、中国は希土類産業の支配力を強化するためにさまざまな政策を実施してきた。中国政府(国家発展改革委員会と工業情報化部)は、高品質な希土類の探査、開発、利用を促進する政策を策定した。新世代の採掘、選鉱、製錬技術の開発や、高端希土類新材料の産業化を推進。また、不法採掘や環境破壊行為の取り締まりを強化し、環境に優しい開発を目指している。

さらに、中国はレアアースの製造技術を戦略的資産と位置づけ、輸出を禁止または厳しく制限する措置を取っている。具体的には、希土類の分離精製技術や製造装置を輸出管理対象に追加し、外国企業への技術移転を抑制する政策を強化している。

希土類は電気自動車や風力発電機などの先端技術に不可欠であり、その安定供給は技術進展にとって極めて重要。アメリカは中国依存を減らすために希土類と希土類磁石の国内生産を強化している。アメリカ国防総省は4億5000万ドルを投入し、国内の希土類生産施設を建設。MP Materials社は、テキサス州で希土類磁石の生産を開始する計画を進行中。

さらに、アメリカは国際的な供給網を強化するために、インドネシアや欧州連合(EU)との協定を追求。これにより、友好国からの投資を引き込み、中国の支配から独立した供給網を構築しようとしている。

米国政府は、MP Materialsのような企業に対しても多額の補助金を提供している。MP Materialsはカリフォルニア州の施設で採掘および精製された材料からネオジム・鉄・ボロン磁石を生産するための新しい磁石工場をテキサス州に設立する計画。エネルギー省もドイツの磁石製造会社に資金を提供し、北米工場の設立を支援。この工場は2024年3月に稼働を開始している。

アメリカはまた、リサイクル技術の開発や新しい鉱山・加工施設の設立を推進。これにより、希土類の供給リスクを減少させ、持続可能な供給網の確立を目指している。

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