USA Rare Earth、英LCM社を買収 西側初の「鉱山から磁石まで」一貫体制を構築

USA Rare Earth(USARE)は9月29日、英国のレアアース金属・合金メーカー Less Common Metals(LCM) を買収する最終合意に達したと発表した。取引総額は2億ドル超に上り、2025年第4四半期の完了を見込む。英国当局の承認などが条件となる。

LCMは1992年創業、本社を英チェシャー州エルズミアポートに置くレアアース金属・合金メーカーで、軽希土から重希土までを対象とした永久磁石合金を商業規模で製造できる企業である。特に高性能ネオジム(NdFeB)磁石やサマリウムコバルト(SmCo)磁石に不可欠な金属・合金を供給しており、西側諸国の防衛、自動車、エネルギー産業に幅広い顧客基盤を持つ。さらに、廃棄磁石などリサイクル資源から酸化物を処理する能力を備え、持続可能な供給にも対応する。

今回の買収により、USAREはレアアースのサプライチェーンにおける最大のボトルネックである「金属化・合金化工程」を獲得した。これにより、同社はテキサス州に保有するラウンドトップ鉱床、建設中のオクラホマ州の年産5000トン規模のNdFeB磁石工場とあわせて、「鉱山 → 分離 → 金属/合金 → 磁石」という完全な垂直統合を実現。中国以外で初めて「鉱山から磁石まで」の一貫体制を整えた企業となる。

この体制は、米国と同盟国にとって、国防・電動車・再生可能エネルギー分野の供給網強化に直結する。アナリストは「中国依存からの脱却を目指す西側にとって画期的な一歩」と評価する。

USAREは今回の買収を足掛かりに、リサイクル技術を活用した資源循環や、欧州・米国市場での合金生産拡張を進める方針だ。LCMはすでに米国防物流局(DLA)の助成を受けてSmCo合金生産を拡大しており、今後はフランス政府の支援を得て欧州展開も計画している。

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