オーストラリア、希土類研究開発への投資拡大

オーストラリア政府は、希土類資源の開発および研究開発への投資を強化する方針を示している。1月8日、政府のウェブサイトで公表された公告によると、オーストラリアは重要な鉱産業界の発展を支援し、低炭素排出に必要な鉱物の供給強化のため、2200万豪ドルを投入する。

この研究開発プロジェクトは、国内の重要鉱物と希土類技術のさらなる発展を後押しし、クリーンテクノロジー部品生産を行う川下企業を奨励するものだ。オーストラリア経済紙「オーストラリア・ファイナンシャル・レビュー」は8日、資源大臣マデリン・キングがこの決定を発表したと報じた。報道によれば、上記の資金支援を受ける3つの研究プロジェクトは、中国の希土類及び希土類技術輸出制限に対応する目的がある。

政府の公告によると、特に支援される3つのプロジェクトは以下の通り。
1)オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)に1390万豪ドルを提供し、低品位鉱床からの希土類元素発見・抽出・加工研究を加速させるプロジェクト;
2)オーストラリア科学産業研究機構(CSIRO)に520万豪ドルを提供し、知的財産権と専門知識を開発し、下流産業が高純度の金属と材料を生産する支援。これによりリチウムと希土類のバリューチェーンが拡大し、タングステン鉱石と難熔性金属の価値向上;
3)オーストラリア地球科学局に270万豪ドルを提供し、国内でガリウム、ゲルマニウム、インジウムなどの重要鉱物産業の可能性調査。

政府はこの追加投資を資源戦略の一環として行っている。2022年、政府は重要鉱産会社イルカに対し12.5億豪ドルの融資を承認し、西オーストラリア州で国内初の希土類精製工場の開発を支援。10月には「重要鉱産設備基金」に20億豪ドルを投じたと発表。さらに、米国との協力による重要鉱産の採掘・加工プロジェクトへの投資強化を予定している。「日経アジア」の分析では、オーストラリアのこの鉱産戦略により中国との差を縮めることは難しいが不可能ではないとされている。

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