インド、リチウム革命へ:政府が加工施設建設を後押し

インド政府は、民間企業にリチウム加工施設の建設を促すためのインセンティブ策を検討している。ニューデリーは新興のリチウム鉱業を発展させ、この動力電池に欠かせない金属の供給を増やすことを目指している。

政府関係者によると、鉱業省が策定した新しい重要鉱物政策に基づき、企業にリチウム加工工場の建設を奨励する方針だという。この政策は探査から採掘、加工までのすべての領域を包括的にカバーしており、インセンティブは国内の選鉱および精錬も対象に含まれる。

昨年、インドはジャンム・カシミール州のサラル-ハイマーナ地域で推定590万トンのリチウム埋蔵量を発見した。このリチウム埋蔵量は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の発展において重要な役割を果たすと期待されている。しかし、インドがリチウムを効果的に採掘・精錬するには多くの課題がある。現在、インドはリチウムとリチウムイオン電池の70-80%を中国から輸入しており、この依存関係を減らす努力が求められている。また、リチウムの抽出には高度な技術とインフラが必要であり、これらの整備には時間がかかると予想されている。

政府は、国内外でのリチウム資源の確保に向けた取り組みを進めており、アルゼンチンやオーストラリアとの協力協定を締結している。さらに、国内の鉱業セクターやスタートアップ企業を支援し、リチウムサプライチェーンの強化を図る計画だ。また、リチウム電池の研究開発を支援するために資金や技術移転を行い、国内の電池製造能力の向上を目指している。

ニューデリーの社会経済進歩センターの研究分析者カシック・バンサルは、政府が補助金や税制優遇措置を提供することでリチウム加工を奨励する可能性があると述べた。政府は、川下産業に必要な重要鉱物の供給を確保するために様々な措置を講じる予定だが、具体的な詳細についてはまだ明らかにしていない。

インドは持続可能なエネルギーの普及と経済成長の両立を目指しており、国内でのリチウム加工施設の設立はその一環として重要な役割を果たすことが期待されている。

■参考記事

India’s long road to lithium | East Asia Forum

Unlocking the Power of Lithium Reserves in India: A Clean Energy Revolution (investindia.gov.in)

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