米サウジ投資フォーラムで基本合意、鉱業から磁石製造まで一貫体制を構築へ
米国のレアアース大手MP Materialsは、サウジアラビアの国営鉱業会社Ma’adenと、サウジ国内におけるレアアース磁石の一貫供給体制の構築に向けた覚書(MoU)を締結したと、5月14日に発表した。署名は、リヤドで開催された「米サウジ投資フォーラム2025」の場で行われた。
今回の協業により、両社はサウジアラビア国内でのレアアース資源の探査、採掘、分離、精製、そして最終製品である永久磁石の製造に至るまで、垂直統合型の供給網の構築を目指す。これは、次世代産業を支えるサプライチェーンの強靭化に寄与するものであり、米サウジ間の戦略的関係強化にもつながるとされる。
Ma’adenのCEO、ボブ・ウィルト氏は、「MP Materialsとの連携を通じて、サウジを先端製造業のハブとするグローバルなレアアース供給拠点に育てたい。鉱業をサウジ経済の『第3の柱』と位置づける国家戦略において、今回の提携は重要な一歩となる」と述べた。
MP Materialsの創業者兼CEOであるジェームズ・リティンスキー氏も、「AIやロボティクスといった新興技術の台頭による構造変化の中で、今回の合意はグローバル供給網の再構築に向けた重要な第一歩だ」と語った。
レアアース磁石は、電気自動車、風力発電、航空宇宙、ロボティクスといった先端分野に不可欠な素材であり、今回の協業は中国への依存度が高い希土類供給網に代わる選択肢として、国際的な注目を集めている。