カナダの材料メーカーであるNeo Performance Materials(Neo)は4月10日、エストニアのシルメット(Silmet)拠点において、重希土類分離生産ラインの立ち上げに成功したと発表した。現在は製品純度の安定化を進めており、今後は本格的な量産体制への移行を目指す。
今回の立ち上げにより、同社は混合希土類炭酸塩を原料として、テルビウムおよびジスプロシウムの分離プロセス溶液の生産に成功した。これらは金属化工程に向けた前駆体となる重要な中間製品であり、分離から処理までの全工程が欧州域内で完結した点が大きな特徴とされる。これにより、欧州における重希土類分離技術の実用性と安定性が実証された。
ジスプロシウムやテルビウムは、高性能焼結磁石に不可欠な元素であり、電気自動車(EV)モーター、風力発電、ロボティクス、ファクトリーオートメーション(FA)など幅広い分野で需要が拡大している。
また、本取り組みは同社がエストニアで進める永久磁石製造拠点とも連携しており、同施設は現在、顧客認証プロセスを進行中で、2026年後半には商業生産の拡大が見込まれている。こうした上流(分離)から下流(磁石製造)までの一体化により、同社は欧州域内での安定供給体制を強化するとともに、磁石事業との垂直統合を一段と進める構えだ。
近年、希土類を巡るサプライチェーンでは地政学リスクへの対応が重要課題となっている。今回の動きは、中国依存の低減と供給源の多様化を目指す欧州の政策とも一致する。Neoの取り組みは、欧州における重要鉱物サプライチェーン再構築の流れを象徴する事例の一つといえる。
