10月20日、中国商務部(経済と貿易を管轄する政府部門)は、一部グラファイト製品の輸出に対して、12月1日から許可制を導入すると発表した。これは国の安全保障と利益を保護するため、戦略物資の輸出管理を強化する目的で行われる。中国企業は輸出する前に当局の審査を受け、許可を得る必要がある。
許可制の対象製品及び影響
許可制の対象となるのは以下の2種類のグラファイト製品である。
① 高純度(純度99.9%以上)、高強度(抗曲強度30Mpa以上)、高密度(密度1.73グラム/立方センチメートル以上)の合成グラファイト材料及びその製品。
② 天然の鱗片状グラファイト及びその製品(球状グラファイト、膨張グラファイトなどを含む)。
グラファイトは、その優れた電気伝導性と熱伝導性から、EV用リチウムバッテリーや電極、電子製品など、多くの産業分野で重要な材料として利用されている。特に電気自動車のバッテリー負極材としての用途が注目されている。
米地質調査所(USGS)の調査データによると、中国は天然グラファイトの埋蔵量で世界第3位の5200万トンを有し、2022年の生産量は世界最大の85万トンに達し、世界生産の65%を占めている。特に高純度グラファイトが不可欠な車載電池向け負極材市場で、中国企業は8割以上のシェアを持っているとされる。
中国税関総署の統計によれば、中国のグラファイト輸出先は主に日本、米国、インドなどで、これらの国の多くの企業が中国からグラファイトを輸入している。
今年、中国は既に半導体素材のガリウムとゲルマニウムを輸出管理対象に加え、12月1日からはグラファイトもその対象に含める。今後、他の重要資源に対しても輸出管理が拡大される可能性があり、中国への依存度を減らすためのサプライチェーンの構築が各国で急務となっている。
グラファイトの主要生産国や埋蔵量
グラファイトの主要生産国や埋蔵量が豊富な国に目を転じると、USGSによると、2022年のグラファイト埋蔵量でトルコが世界首位の9000万トン、ブラジルが7400万トンで第2位、中国が第3位。第4位は東アフリカにあるマダガスカルの2500万トンである。
また、グラファイトの2022年の生産量では、中国に次ぐモザンビークが17万トンで第2位、マダガスカルが11万トンで第3位、ブラジルが8.7万トンで第4位となっている。
■参考
商务部 海关总署关于优化调整石墨物项临时出口管制措施的公告 (mofcom.gov.cn)
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