主要7カ国(G7)首脳は6月17日、フランスで開催されたエビアンG7サミットにおいて、「重要鉱物のサプライチェーン確保に関するG7首脳宣言」を発表した。
レアアースおよび永久磁石について、G7とパートナー国以外の特定の第三国(単一供給者)への依存度を2030年までに60%未満へ引き下げ、その後も低減を続け、可能な限り早期に50%へ到達する目標を掲げた。
声明は特定の国を名指ししていないものの、重要鉱物や関連するデュアルユース品目に対する恣意的な輸出制限、報復措置、経済的威圧に重大な懸念を表明した。レアアースや永久磁石の供給で大きなシェアを占め、輸出管理を強化している中国を念頭に置いた内容とみられる。
レアアースと永久磁石以外の重要鉱物についても、関係閣僚に対し、2026年末までに単一供給者への依存度を引き下げる具体的な目標を設定するよう求めた。
加工・リサイクルを含む供給網を構築
G7は、鉱山開発だけでなく、加工、分離・精製、リサイクルを含むサプライチェーン全体の産業能力を強化する。
パートナー国と連携して生産・加工プロジェクトを推進し、需要の集約や官民資金の動員を通じて、特定国に依存しない供給網の構築を目指す。
声明によると、2026年初め以降、G7およびパートナー国では重要鉱物関連の195件のプロジェクトが発表され、出資やオフテイク契約を含む投資総額は640億ユーロに達した。レアアースと永久磁石の生産能力を整備する共同計画も進める。
また、多角化した供給網を商業的に維持するため、価格差補填を含む収益安定化措置、共同調達、輸入割当、最低価格制度などの導入可能性を引き続き検討する。
中国企業が価格競争力と大規模な生産能力を持つ中、中国以外の案件を育成するには、資金支援だけでなく、長期購入契約や価格下支え策によって事業の採算性を確保することが重要となる。
日本提案の備蓄連携を反映
声明は、重要鉱物の供給途絶に備え、各国が政府または民間による国内備蓄能力を整備・拡大する方針も盛り込んだ。
国際エネルギー機関(IEA)の重要鉱物安全保障プログラムや、日本のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の専門的知見を活用し、備蓄制度、調達・放出方法、優良事例などを共有する。
日本はサミットで、G7各国による備蓄制度の立ち上げを支援し、導入国の制度を相互に連携させる「共同備蓄連携構想」を提唱していた。今回の声明には、日本が長年培ってきた鉱物備蓄の経験をG7全体へ展開する方向性が反映された。
IEAのデータ基盤を活用し、将来の市場逼迫や供給・需要の混乱に関する情報を共有する共同協力メカニズムも設置する。
トレーサビリティとリサイクルも強化
重要鉱物の原産地や流通経路を確認するトレーサビリティ制度については、まずリチウムとニッケルを対象に試行する。その後、レアアースを重視しながら、毎年新たに5種類の重要鉱物を追加する方針だ。
リサイクルについては、選定した重要鉱物またはその派生製品を対象に、2026年末までの目標設定を目指す。2030年末までに、G7加盟国の年間消費量の相当部分を賄える共同リサイクル能力の構築を進める。
G7重要鉱物アライアンスを設立
一連の取組を継続的に推進するため、G7は法的拘束力を持たない枠組みとして「G7重要鉱物強靱化・生産アライアンス」を設立することで合意した。
同アライアンスは、資金調達、供給源の多角化、備蓄、透明性、リサイクルなどの施策を一体的に進める枠組みとなる。参加国の承認を条件として、G7以外の同志国にも参加を認める。
今回の声明は、G7の重要鉱物政策が、これまでの理念的な協力から、依存度の数値目標、価格支援、共同調達、備蓄連携といった具体的な実行段階へ移行したことを示す。
一方、目標達成には、中国以外での採掘・加工能力の拡大に加え、コスト競争力の確保、長期的な需要の創出、各国間の政策調整が必要となる。今後は、年末までに設定される他の重要鉱物の依存度低減目標や、価格下支え・共同調達制度の具体化が焦点となる。
※参考:
G7 leaders’ declaration on securing supply chains for critical minerals. | G7 Évian 2026
