MP Materials、2024年第2四半期における生産拡大と財務課題

アメリカに本社を置く希土類生産者MP Materials社は、2024年第2四半期(4月から6月)において、成果と課題が報告された。同社の最新の財務報告と生産データに基づくと、以下のような状況が浮かび上がる。

一、生産量の増加

MP Materials社は、第2四半期において酸化プラセオジム・ネオジム(NdPr)の生産量を第1四半期に比べて2倍以上に増加させ、272トンを生産した。このうち、136トンを平均価格48ドル/キログラムで販売した。第1四半期には131トンを生産し、134トンを販売していたことから、大幅な生産拡大が見られる

二、財務状況

財務面では、同社は第2四半期において総収入が前年同期比51.2%減少し、3130万ドルとなった。また、純損失は3405.5万ドルであり、前年同期の純利益740万ドルから大幅に悪化している。

三、市場環境と課題

今年に入ってから、世界の希土類市場は供給過剰と需要の低下により低迷している。特にプラセオジム・ネオジムの価格は、2020年から2021年の高値から大幅に下落しており、2024年第2四半期の中国酸化プラセオジム・ネオジムのオフショア価格評価の平均は53,053ドル/トンで、前年同期の69,103ドル/トンを大きく下回っている。

四、重要な契約と今後の見通し

同社は、社名が明かされていないが、自動車メーカーと「実質的な」プラセオジム・ネオジム供給契約を締結し、さらにアメリカ国防総省との供給契約も獲得している。また、磁石顧客からの5000万ドルの前払いを受け取っており、2025年末までに約1億9,000万ドルの顧客前払いと税額控除を見込んでいる。

五、生産拠点の拡大

フォートワースの生産拠点では、磁石原型生産ラインが稼働を開始しており、年内にネオジム永久磁石(NdFeB)の商業生産を実現する計画である。これは、国内での希土類供給チェーンを確立するための重要なステップとなる。

MP Materials社の2024年第2四半期は、生産量の大幅な増加と重要な契約の締結という成果があった一方で、財務面では厳しい状況に直面している。市場の低迷と価格の下落が続く中、同社は今後のコスト削減と効率化に注力し、持続可能な成長を目指している。長期的な見通しとしては、国内外の需要が回復し、価格が安定することで、同社の収益性が向上することが期待される。

▼参考 MP Materials社報告内容

MP Materials – MP Materials Reports Second Quarter 2024 Results

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