カナダの資源開発企業Ucore Rare Metals Inc.(以下、Ucore)は、米国防総省(DOD)との間で、総額1,840万ドルにのぼる建設資金の供与契約を締結した。これは、同社が独自開発した希土類元素分離技術を用いた処理施設を、米ルイジアナ州に建設し、商業化を進めるための初期資金として活用される。
このプロジェクトは、現在オンタリオ州キングストンで稼働中の実証施設における技術成果をもとに、米国に技術移転を行い、戦略金属複合施設において商業規模の分離処理能力を構築することを目的とする。Ucoreは、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)の6種類に及ぶ重要な希土類元素を処理可能な設備を導入する予定である。
同社は今後、年間2,000トンの希土類酸化物(TREO)の処理を目標とするプラントの完成を見据え、段階的な拡張と並行して早期生産の実現を図る。
UcoreのCEOであるパット・ライアン氏は、「本件は単なる商業プロジェクトではなく、西側諸国によるクリティカルメタル分離技術の進化を体現するものである」と述べたうえで、「北米における独立した希土類サプライチェーンの構築に向け、米国防総省の支援は極めて重要なステップとなる」と強調した。
Ucoreはすでに2025年5月10日付で本プロジェクトに関する仮契約を締結しており、正式契約は同年6月10日までに締結される予定である。