海外メディアによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国に対してウクライナの希土類鉱山の約50%の権益を提供する提案を拒否した。理由として、取引における米国側の安全保障の明確な保証がないことを挙げた。
ゼレンスキー大統領は、鉱物資源の取引は米国および欧州の安全保障と直接結びつくべきだと主張。米財務長官のスコット・ベセント氏がキーウを訪問し、ドナルド・トランプ大統領が署名を求める文書を持参した。ベセントはゼレンスキー大統領との非公開協議の前に、「この合意はキーウとの経済協力をさらに深めるものだ」と説明。トランプ陣営は「経済的関与を強化することで、戦争終結後のウクライナ全体の長期的安全を確保する」と主張していた。
しかし、英国フィナンシャル・タイムズに証言したウクライナ政府関係者は、「文書には米国の将来的な安全保障に関する具体的な記述がない」と指摘。別の政府関係者はこの取引を「トランプの取引」と呼び、「トランプ主導の取引であり、非常に厳しい内容だ」とコメントした。
関係者によると、キーウ側の最大の懸念は、協定に広範な安全保障に関する記述がない点。ウクライナ側は、この合意が長期的な安全保障にどのように寄与するのかを問いただしたが、米国側は「米国がウクライナ領内に関与し続けることが保証される」といった一般的な回答しか示さなかったという。ベセントは「米国人が鉱山採掘現場を警備することで、モスクワへの抑止力になる」と主張した。
また、関係者2人によれば、この協定には「鉱山権益を巡る全ての紛争はニューヨークの裁判所で解決する」という条項が含まれており、これも議論を呼んでいる。ウクライナ政府高官はフィナンシャル・タイムズに対し、「より良い合意を目指して交渉を続けている」と述べた。
背景
2月3日、米国のドナルド・トランプ大統領は、ウクライナへの武器供給と引き換えに、希土類金属やその他の資源を確保するための合意に関心を示した。ゼレンスキー大統領はその後、米政府高官との会談を予定していると発言した。