オーストラリアの希土類企業Ionic Rare Earths(IonicRE)は5月25日、米国の永久磁石メーカーAdvanced Magnet Lab(AML)に対し、ネオジム・プラセオジム酸化物およびジスプロシウム酸化物の供給を開始したと発表した。両社は法的拘束力のある販売契約に加え、長期協業に関する法的拘束力のない覚書(MOU)も締結し、脱中国の希土類磁石サプライチェーン構築を目指す。
今回の供給は、AMLが米国防総省の主要物流支援機関である国防兵站局(DLA)から獲得した200万米ドルの契約に基づき、防衛システム向けに米国内で製造する焼結NdFeB磁石の認証活動を支援するものである。IonicREは重要原料となるNdPr酸化物とジスプロシウム酸化物を提供する。AMLは独自の製造プラットフォームを活用し、追跡可能かつ高性能な永久磁石の米国内生産体制の拡張を進めている。
両社が締結したMOUには、磁石製造時に発生する切削くずや廃棄物をIonicREが回収・リサイクルし、再び分離済み希土類酸化物としてAMLへ供給する循環型モデルも盛り込まれた。これにより、原料調達からリサイクルまでを含む一貫したサプライチェーン構築を目指す。米国では地政学リスクの高まりを背景に、軍用ドローンモーターや防衛産業向けの重要鉱物および希土類磁石の国内調達体制強化が進められている。
今回の提携は、2025年10月に米国のトランプ大統領と豪州のアルバニージー首相が署名した重要鉱物・希土類サプライチェーン確保の枠組みを後押しするものであり、米国と豪州による「脱中国」希土類供給網構築の取り組みの一環と位置付けられる。
