米国エネルギー省(DOE)は現地時間の6月2日、産業廃棄物や鉱山廃棄物から希土類を回収・精製する2件のプロジェクトを選定し、総額1億3400万ドルの資金支援を行うと発表した。米国内の希土類サプライチェーン強化と、中国への依存低減を目的とした取り組みの一環となる。
支援対象の一つは、米国の鉱山工学・資源開発分野で知られるColorado School of Mines(コロラド鉱山大学)を代表機関とし、希土類回収事業を手掛けるElementUSAなどが参画するルイジアナ州のプロジェクトで、約6700万ドルが投入される。同プロジェクトでは、アルミナ生産時に発生するボーキサイト残渣(赤泥)から希土類を回収・精製する商業規模の実証工場を建設する計画だ。
工場では年間150~1000トンの希土類生産を目指しており、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウム、サマリウム、イットリウムなどを回収対象としている。特にジスプロシウムやテルビウムは高性能希土類磁石に不可欠な重希土類であり、米国の供給確保において重要な戦略資源と位置付けられている。
もう一つの支援対象は、希土類リサイクル企業Phoenix Tailingsとマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で進めるプロジェクトである。オクラホマ州に実証プラントを建設し、産業廃棄物を高純度の希土類金属へ転換する技術の商業化を目指す。これにより、米国内に新たな希土類供給ルートを構築する計画だ。
今回の2案件は、新規鉱山開発ではなく、既存の廃棄物や尾鉱を資源として活用する点が特徴である。DOEによれば、鉱山廃棄物、ボーキサイト残渣、電子廃棄物、その他の産業副産物から希土類を回収することで、国内資源の有効活用と供給源の多様化を図る狙いがある。
米国政府は近年、中国が優位性を持つ希土類の採掘・分離・精製・磁石製造分野への投資を拡大している。今年5月には、DOEが重要鉱物・材料サプライチェーン強化に向けた支援事業で、米希土類企業USA Rare Earthを選定した。同社は最大1,930万ドルの支援を受け、希土類元素のパイロット規模の分離技術の実証を進める計画である。今回の採択は、廃棄物由来の希土類回収技術の実用化を通じて、米国内での希土類供給網の強靭化を進める取り組みとして注目される。
