カナダのAclara Resourcesは6月29日、希土類含有率約99%を達成した高純度希土類炭酸塩(SPREC)の開発に成功したと発表した。従来の混合希土類炭酸塩(MREC)では希土類濃度が40%程度にとどまる場合があるとしており、同社はSPRECを、重希土類の川下分離工程の効率化につながる重要な中間製品と位置付けている。
SPRECは、チリ・サンティアゴにある同社のパイロットプラントで開発された。今後、ブラジルのCarinaプロジェクトおよびチリのPenco Moduleにおいて、この新工程を導入する計画である。
Aclaraによると、SPRECは従来のMRECより希土類含有率が高く、不純物も低減されているため、個別の希土類酸化物への分離工程を安定させやすい利点がある。また、ブラジルとチリの両プロジェクトから得られる原料を混合し、同一の溶媒抽出回路で効率的に処理することが可能になるという。さらに、重希土類の濃度向上に加え、輸送量の削減による物流効率の改善も見込まれている。
同社はSPRECの商業生産を通じて、中間製品の品質を産地側で高め、米国などで進める川下分離工程の効率性を引き上げる狙いだ。商業操業開始後は、CarinaプロジェクトおよびPenco Moduleにおける標準的な中間希土類製品としてSPRECを生産する計画である。
また、同社は6月26日、米ルイジアナ州ビントン港で計画している重希土類分離施設について、同州の産業税免除プログラムに基づく最終承認を取得したことを発表している。Aclaraの試算では、年間約420万米ドル、当初5年間で計約2,080万米ドルの税負担軽減が見込まれており、さらに5年間の延長機会もある。
ルイジアナ州の施設では、チリとブラジルのイオン吸着型粘土鉱床から生産される希土類炭酸塩などの中間製品を処理し、高純度の個別希土類酸化物へ分離する計画である。対象には、永久磁石に不可欠なジスプロシウム、テルビウム、イットリウム、ガドリニウム、サマリウムなどの重希土類が含まれる。同社は、同施設が電気自動車、ロボット、風力タービンなどに使われる永久磁石向け重希土類の供給網強化につながるとみている。
さらにAclaraは、チリの資源・鉄鋼企業CAP S.A.との合弁事業を通じて、分離精製後の希土類酸化物を永久磁石向けの希土類金属・合金へ転換する取り組みも進めている。今回のSPREC開発とルイジアナ州での税優遇承認は、同社が重希土類の川上から分離、金属・合金化までを一体化し、永久磁石向けの独立した供給網を構築するうえで重要な進展となる。
