EUが注目するノーラ・カー鉱山:ヨーロッパのレアアース自給を目指すカナダ企業の戦略

カナダの上場企業Leading Edge Materialsは、2024年8月11日、スウェーデンのノーラ・カー(Norra Kärr)重希土類鉱山について、EU戦略プロジェクト指定を申請したと発表した。EU戦略プロジェクトの最初のリストは2024年12月に公表される予定である。

同社のCEOであるカート・バッジ氏は、「ノーラ・カーの戦略的プロジェクトの開発は、ヨーロッパにおける重希土類生産の実現に向けた起爆剤となるだろう。また、EUの方針である永久磁石製造支援のための持続可能なサプライチェーン構築にも貢献する」と述べた。

ノーラ・カーは20世紀初頭にスウェーデンの地質調査所によって初めて発見された。事前調査によれば、このプロジェクトは年間5,341トンの希土類酸化物を生産でき、その中には721トンのPrNd酸化物、248トンのDy酸化物、36トンのTb酸化物が含まれている。現在、EUはほぼ100%中国の資源に依存しており、当該地域でのレアアース需要は2030年までに6倍、2050年までに7倍に増加すると予測されている。このプロジェクトは、中国への戦略的依存を減少させる一助となるだろう。ノーラ・カーの規模と鉱物品位を考慮すると、今後数十年にわたり、ヨーロッパにおけるレアアースの安全供給を保障する可能性がある。

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