Ionic Rare Earths Limited(IonicRE)とViridis Mining and Mineralsは、ブラジルでレアアースの分離およびリサイクル能力を強化する合弁事業を設立すると海外複数のメディアが報じた。
この合弁事業は、両社が均等に出資し、IonicREの分離技術を活用して精錬所とマグネットリサイクル施設の開発に注力する。この技術はIonicREの子会社の英国ベルファストのマグネットリサイクルデモンストレーションプラントで成功に導入されており、電気モーターや風力タービンなどの現代技術に不可欠なネオジム-プラセオジム酸化物の連続生産を実現している。
Viridisは、ブラジルのPocos de CaldasのColossusプロジェクトから混合希土類酸化物を提供する予定だ。Colossusでの初期探査および掘削は、ネオジム、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムなどの重要な要素を含む混合レアアース酸化物の大規模な埋蔵を示しており、これが合弁企業の精錬およびリサイクル作業を支え、中国以外でのグローバル供給チェーンへの貢献を目指す。
この取り組みには、ミナスジェライス州およびポソス・デ・カルダス市の地方政府との戦略的パートナーシップも含まれており、規制承認やインフラ開発を円滑化して、プロジェクトの迅速な展開を促進する。この合弁事業の目標は、西側世界でのレアアースの供給チェーンの安全性と回復力を高めることである。
ブラジルの希土類埋蔵量および開発状況
米国地質調査所の2024年の最新報告によると、ブラジルは世界で3番目に大きな希土類の埋蔵量を持っており、推定2100万トンに達する。しかし、希土類の現在の生産量はその潜在能力のごく一部にすぎず、全世界の供給のわずか0.2%しか占めていない。
主要な開発プロジェクトとして、ミナスジェライス州とゴイアス州でのいくつかの探鉱が進行中だ。特にゴイアス州のセラヴェルデプロジェクトは、重要な4種類の磁性希土類(ネオジム、プラセオジム、テルビウム、ジスプロシウム)を含むレアアースを生産し、年間5000トンの希土類酸化物の生産を目指している。
また、最近ではバイーア州で新たにネオジムの大規模な鉱床が発見され、その埋蔵量は2800万トンに及び、総額84億ドルの価値があると評価されている。
このようにブラジルは希土類の開発において大きなポテンシャルを持ちつつあるものの、探鉱と開発のための投資が十分ではなく、地質調査の不足や環境規制などの問題も抱えている。政府や関連機関はこれらの課題に対処し、希土類資源の有効活用を図るための戦略を練る必要がある。
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