海外メディアの報道によると、オーストラリアのライナス・レア・アース社(Lynas Rare Earths)は2月5日、米国のMP Materialsとの合併の可能性を巡る機密協議が終わったと発表した。業界関係者らは、両社が金額で合意するのは難しかったと言っている。
ライナスは中国を除く世界最大のレアアース生産者で、MP Materialsは米国最大のレアアース生産者だ。
国際エネルギー機関によると、中国は世界トップのレアアース消費国及び生産国で、世界のレアアース精製能力の約87%を支配している。中国は2023年12月、重要物質(含む希土類)を抽出・分離する技術に対する既に実施している禁止措置に加え、希土類磁石を製造する技術の輸出を禁止した。
希土類元素は、電気自動車、医療機器、風力タービン、ミサイルといった多岐にわたる産業で不可欠な役割を果たしている。そのため、米国や欧州諸国は、中国に依存しない希土類元素の供給チェーンの再構築に向けて動いている。この協議は、サプライチェーンの多角化を各国が探っている中で行われた。
ライナスはマレーシアと米国での精製事業を強化するため、西オーストラリア州のカルグーリーに加工工場を建設し、国防総省の支援でテキサス州に加工施設を建設した。
MP Materialsは、カリフォルニアのマウンテンパス鉱山から抽出した岩石をレアアース濃縮物に加工し、精製のために中国に輸送している。同社はしばらくの間、独自の素材を精製するための難しい技術を突破するのに苦労した。
オーストリアの投資会社アルゴ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アンディ・フォスター氏は、ライナスとMPの提携の可能性について、「そこから大きな相乗効果があるとは思えない。単に供給が統合されるだけだ」と話した。
この提案を直接知る関係者の一人は、取引の大まかな流れとしては、ライナスがオーストラリアで上場廃止になり、MPがニューヨーク証券取引所の上場を維持することが含まれ、いかなる取引も第一四半期を目標にしていたと言った。
しかし、業界関係者は、ライナスがこの取引から何を得ることができるのか疑問視しており、提携の価値について合意するのは難しかった。