米国のレアアース・重要鉱物企業USA Rare Earth(USAR)は6月15日、米コロラド州ウィートリッジにおいて、湿式製錬の実証プラントを稼働開始したと発表した。同社は2026年第3四半期の分離酸化物の初生産を目指しており、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムを含む重希土類酸化物を商用グレードで供給できる数少ない中国国外の企業となることを狙う。
本施設は、同社が進める「鉱山から磁石まで」の垂直統合型サプライチェーン構築における重要な基盤となる。
実証プログラムでは、3つの処理ルートを並行して検証する。具体的には、米テキサス州Round Top鉱床由来の鉱石処理、ブラジルSerra Verde社のPela Ema鉱山原料を含む第三者からの混合希土類炭酸塩(MREC)処理、そしてネオジム・鉄・ボロン(NdFeB)磁石の加工くずからのリサイクルである。これにより、ネオジム・プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなどの分離酸化物生産プロセスの確立を目指す。
生産された酸化物は、同社が2025年11月に買収完了した英国のLess Common Metals(LCM)に供給される見通しだ。LCMは中国国外で希土類金属、合金、ストリップキャストを商業規模で生産できる数少ない企業の一つであり、最終的にはUSA Rare Earthの永久磁石製造事業へ供給する計画である。
中国が重希土類の分離・精製および磁石サプライチェーンにおいて圧倒的な影響力を持つ中、今回の施設稼働は、米国および西側諸国における供給網強化に向けた重要な一歩となる。特にジスプロシウムやテルビウムは、高性能永久磁石の耐熱性向上に不可欠であり、防衛、航空宇宙、半導体、エネルギー、データセンター、モビリティなど幅広い戦略産業にとって極めて重要な役割を担う。
